北アルプス 蝶ヶ岳~常念岳
中村 明
9月18日(火)から20日(木)の2泊3日で、北アルプスの蝶ヶ岳~常念岳を縦走した。
9月18日午前4時過ぎ自宅を出発、 中央自動車道八王子ICに乗り入れ、長野道安曇野ICを降り、鳥川林道を通って三股
臨時駐車場に午前7時半ごろ到着。 鳥川林道は一部道路崩落のため本来の駐車場から約2km手前の臨時駐車場に車を止めた。すでに5台ほど駐車していた。
8時前に出発。約20分
程歩くと道路下に約50台以上の車が駐車していた。
さらに臨時駐車場があったのだ。本来の駐 車場を抜け
舗装路に別れ、地道を進むと三股登山口に到着。
登山届けを提出して山道に入る。直ぐに小さな吊り橋を
渡ると常念岳方面と蝶ヶ岳方面の分岐に出会い、蝶ヶ岳
方面を進む。30分ほど行くと先ほどより長い釣り橋に遭
遇。下には勢いよく沢が流れている。さらに進むと力水
という看 板がありここから蝶ヶ岳まで5.6kmの表示であ
る。午前9時 30分にゴジラの木に到着。休憩用の木製ベ
ン チがあったので一服することにした。なるほどゴジラ
の頭部に似ている。
口のところには小石をならべて歯を模擬していた。
20分程休憩をとってから出発。1時間余りでまめうち平
に到着。ここにもベンチがあったので休憩。標高1,900m。
駐車場からは約700m登ってきた。休憩後、歩を進める。 ゴジラの木
ところどころに木製の階段が増え始めてきた。息をつき
ながらも前進。停止する回数が増え始める。周辺はガスに覆われ遠くの山容がところどころ顔をみせる。森林限界を越えたあたりから晴れ間が見え始めた。もう少しで頂上だと気を振り絞るとテントと小屋が見えた。午後2時半に蝶ヶ岳ヒュッテに到着。手続を終え早速テント場に行くと10張りほどあった。小屋の人の助言に従ってなるべく這松の近くに設営した。落ち着いてからすぐ裏の蝶ヶ岳頂上に行っ
た。明日目指す常念岳や穂高連峰、槍ヶ岳、乗鞍岳や御嶽山を見
渡すことができた。穂高連峰は夕日で赤く染まり、感動的であっ
た。小屋の人に天候を確認したところ翌日の19日は晴れであるが
20日はあやしいとのこと。状況によっては19日で常念岳~駐車
場まで強行軍を強いることになる。テント内で夕食を採り、明日
のルートを確認して就寝したが、風が強くテントをはためかす音
と寒さでなかなか寝ることができなかった。隣のテントからはい
びき声が聞こえ、うらやましかった。19日は午前4時起床。
外はすっかり穏やかで無風・晴天で絶好の登山日和である。朝食
をとったのちテントをたたむ。風のためか結露はなかった。地面
が少し濡 れている程度であった。隣のテントの人はもう発ってい
なかった。一 つ隣のテントの人は福島から来て前日駐車場を午後 蝶槍(手前)と常念岳
1時に出発し、5時にテント場に到着したとのこと。これから常念
岳から前常念岳を経て 駐車場まで行き、そのまま福島まで帰ると
の事であった。午前6時前にテント場を出発。常念岳をめざす。最
初は比較的なだ らかな尾根の縦走である。北アルプスの大パノラ
マを展望しながらの縦走は非常に気持ちがいい。登山をやってい
て幸せであるという実感が湧いてくる。蝶槍に7時前に到着、一服
する。ここからの常念岳の眺 めも素晴らしい。休憩後しばらく歩
くと体が暖かくなり、コルのところでダウンを脱ぎ長袖シャツ一
枚になる。常念岳頂上までは標高差約 400mあるがそれまでに2回
ほどのアップダウンがある。途中高齢者のグループとすれ違った。
横浜から来たという。常念岳を通りこれから 蝶ヶ岳に向って一泊
する。明日の天候を聞くと夕方までは持つとのこと。この言葉を
信じて今日19日は常念小屋テント場で宿泊することに決める。
約2,600mと約2,500mのピークを乗り越えたあとは常念岳頂上ま 常念尾根から見る槍ヶ岳
で一気に登りであるが、中間地点で力尽き食事とした。常念岳頂
上には12時半前に到着。7,8名ほど先着者がいた。頂上からの眺め
も素晴らしくこれまでの眺望できた山々に加えて、大天井岳、常
念尾根から見る槍ヶ岳燕岳など360度見渡すことができた。しばら
く景色を楽しんだり、他の登山者と言葉を交わしたのち、午後1時
過ぎに常念小屋へ向かう。出発して約10分で常念小屋と三股登山
口方面の分岐点に着く明日 20日は三股登山口方面に行くことにな
る。そのまま常念小屋方面に向かう。しばらく行くと岩場を越
え、急坂となり麓のほうに小屋の赤い屋根とテントが2,3張り見え
る。常念岳と小屋は標高差約400mある。小屋は見えるがなかなか
到着しない。ジグザグの坂を疲れた足を引きずりながら午後2時半
前に小屋に到着。早速テントの手続きを済ますとともに明日の天
候を尋ねた。ゆう方まで持つということであった。テント場で良
好な場所を選んでテントを設営した後、小屋で水を補給した。小 行く手に常念岳が見える
屋には三股登山口方面へ行く道は急な坂が多く疲労遭難者が発生
しているので希望者は相談してくださいという張り紙がしてあっ
た。また、鳥川林道の工事による一般乗用車の通過時間が制限さ
れているとの情報も小屋で得た(蝶ヶ岳ヒュッテでも)。こうい
ったこともありテ ント内で夕食をとったあと、明日の行動を検討
し、なるべく早く発つことにするため起床を午前3時とし、床につ
いた。20日は3時起床。朝食を摂ったのちテントを片付け、5時前
に出発する。周囲はまだ暗い。
ヘッドランプの明かりだけが頼りである。前日下ってきた道を登る
のだが、暗くてわかりにくい。足跡でかためられたような道に従っ
て進む。 しばらく行くと赤のペイントがしてあったので一安心。急
坂を途中何回か一休みして6時半前に三股登山口方面分岐点に到着。
三股登山口方面に歩を進める。なだらかな道をしばらく行くと前方に小さく冨士山が見えた。岩場を過ぎると稜線の先に前常念岳が見える。ゆるやかな下り道で途中岩場もありヒヤリとするところもあったが比較的歩きやすい。
向かって右側を見ると先日歩いた常念尾根が手に取るように見える。蝶ヶ岳ヒュッテから蝶槍までのなだらかな稜線、蝶槍から2,3回のアップダウンを経てそこから常念岳までの険
しい
登りがまじまじとわかる。このコースを登ったんだという実感と
達成感を改めて噛みしめる。前常念岳には7時半頃到着。すぐ下 っ
たところに赤い屋根の石室があり、10人ほど雨がしのげる空間があ
るという。ここからの下りは大きな岩場がしばらく続き、緊張を強
いられた。出発してから4時間、標高2,300mくらいになると樹林帯
となり、少し楽になる。途中登攀者2名に出会う以外、人との出会い
はなかった。ラジオによると午後に雨が降るとのことで少 し焦る。
標高1,800mあたりで休憩をとる。駐車場まであと標高差で約600m
ある。
一般車通行可能時間と雨が気になり少し速足で降りる。
途中倒木や急坂とで足をとられる。 前常念岳へと続く稜線
順調なペースであるが、足首を2,3回ひねった。
三股登山口に11時40分到着ここまでくれば気持ちも楽になり林道を
そのまま下って12時過ぎに臨時駐車場に到着。幸い雨と交通規制に
はかからなかった。 駐車場から5kmほど先の温泉施設で3日間の疲
れを癒し帰路についた。
前常念岳からの岩場
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